第79回日本口腔科学会学術集会(松本市)2025年5月15‐17日に参加しました.掌蹠膿疱症と歯科治療について.
第79回口腔科学会総会にオンデマンド参加いたしました.
学会2日目には,「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」に関する歯科診療のワーキンググループから報告がありました.今回は,その内容と私自身のこれまでの臨床経験を交えてお話したいと思います.
掌蹠膿疱症とは,手のひらや足の裏に小さな水ぶくれ(膿疱)が繰り返し現れる皮膚疾患で,原因はまだ完全には解明されていません.ただし,喫煙,扁桃炎・副鼻腔炎などの慢性感染症,根尖性歯周炎や歯周病,智歯(親知らず)周囲炎などの歯性感染病巣,さらに歯科用金属による金属アレルギーが関連していると考えられています.
講演の中では,日本国内にはおよそ14万人の患者が存在すると推定されており,その約80%に歯性病巣,扁桃炎・慢性副鼻腔炎といった病巣感染が関与している可能性が示されました.
私自身の経験としても,歯周炎の治療後や抜歯後に掌蹠膿疱症の症状が改善あるいは治癒に至った症例を複数経験しています.実際に,皮膚科の先生方から,歯性感染の評価や治療の依頼を受けることもたびたびあります.最近でも掌蹠膿疱症の治療中だった患者様に対して歯性病巣の処置を行ったところ,著明な症状の改善がみられたケースもありました.
掌蹠膿疱症やそれに伴う掌蹠膿疱症性骨関節炎の治療には,歯科疾患への深い理解と歯科医師による積極的な介入が欠かせません.しかし現状では,皮膚科医・歯科医の双方において,知識や認識の不足,また診療連携の不十分さが課題となっていると感じています.
現在,日本口腔科学会および日本口腔内科学会では,日本皮膚科学会が発行した「掌蹠膿疱症診療の手引き2022」を踏まえ,掌蹠膿疱症患者への歯科診療の指針を策定するため,皮膚科医師と歯科医師からなるワーキンググループを立ち上げています.今後の報告が待たれるところです.
掌蹠膿疱症でお困りの患者様に対して,少しでもお力になれれば幸いです.


